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39話 ギルドの対応に困惑

作者: みみっく
last update 最終更新日: 2025-07-15 07:00:12

♢ギルドの特別待遇☆レティアの隠された影響力

 レティアはそんなルーシーの言葉を軽々と受け流し、ニコッととびきりの笑顔をギルド職員に向けながら質問を投げかけた。

「でもでもー、ギルドでは優先的に相談や依頼をしてもらえそうだよぅ……♪ ねぇ? ギルドのオジサン!」

 職員は一瞬驚いた様子を見せたが、すぐに丁寧な口調で答えた。

「え、あ……はい! もちろんです。ギルマスからも……国王様からも、レティア様には優先的に対応するよう指示を受けております。」

 その返答にレティアの青い瞳がさらに輝き、彼女の心には誇らしさと喜びが芽生えていた。

『なんだか、すごい人の名前が並んでいる気がするよっ!』

 心の中でそう思いつつ、隣にいたルーシーとフィオを見やると、二人とも驚愕した顔をして互いに見つめ合っていた。

 職員はさらに丁寧に続けた。

「それと、受付に並ばれる必要はございません。お声を掛けていただければ、こちらの応接室でお話をお伺いいたします。」

 その言葉にルーシーが少し驚きながらも、自然と口元を緩ませた。彼女の表情からは、嬉しさと承認欲求が満たされたような微妙な感情が滲み出ていた。そして、その隣にいたフィオからも似たような感情が感じ取れる。二人とも、特別扱いを受ける喜びを内心で静かに味わっている様子だった。

 レティアは、二人の反応を微笑ましく見つめながら心の中で思った。

『特別扱いって、やっぱり嬉しいよねー♪』

 職員はさらに続け、伝言があることを伝えた。

「それでですが、ご家族からの伝言をお預かりしております。『元気で無理をしないようにね!』とのことです。」

 レティアはその言葉に目を輝かせ、感情を抑えきれず声を弾ませた。

「わあ……ありがとぅ♪ 心配だったんだぁ……。やっぱり、心配してるよねーって思ってた。じぃーじとばぁーば元気にしてた?」

 職員は真剣な表情で頷きながら答えた。

「はい、とてもお元気でいらっしゃ
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